ロードキル
呆れた防止策



先日ネット上である記事を見つけました。

北海道の高速道路上でキツネを避けようとした車が中央分離帯に衝突し、
その直後、後続車に突っ込まれ、亡くなられたとの事。
遺族の方が旧道路公団相手に訴訟を起こしましたが一審で敗訴されました。

死亡事故にこそならなかったものの、侵入してきた動物を避けて事故になるケースはよくあります。
通報を受け事故現場に行くと、動物が跳ねられていたり、死骸を避けて事故になっていたり。
正直、嫌な事故です。
動物が侵入しないようにフェンスを設置していますが、
動物は侵入しようとフェンスの下の地面を掘ってしまいます。
私が管理隊のいたときから問題視されていて、対策案も検討されていたようです。
巡回中にフェンスの下にくぐり抜けた痕跡を発見しスコップで埋め戻したり、
落下物の板きれを置いてみたりと出来ることはしましたが、
根本的な対策をしてない以上、限界はあります。
対策を出来るのは道路管理者である道路公団だけです。
その道路公団が対策をせず、手を抜いたために北海道の死亡事故は起きてしまいました。

侵入防止対策は確かに費用はかかります。
年間の料金収入が2兆円。
総延長540キロの北海道の対策でわずか40億円。
会計の端数処理で工面できそうな金額です。
8000キロ近い日本中の高速道路だと約15倍で600億円。
遮音壁や高架区間ではもちろん対策は不要ですから安く済みます。
安くするアイデアなんかいくらでも出るはず。
数年かけて実施すれば簡単にできます。
ロードキルは年間3万5千件。死骸と言えどもタダじゃ処分できません、
ある市の場合1000円の処分料がかかります。
跳ねた車の修理代、いくらでしょうか?道路管理者が負担しますか?
侵入した動物を避けた車が当て逃げして、ガードレール等が破損した場合、
100万円は軽く道路管理者が負担します。

北海道の事故の場合、現場にはフェンスと呼べるものはありませんでした。
有刺鉄線が横方向に張られ、支柱間をX字型に結んである簡易なもの。
鹿用の対策らしいです。犬やキツネとかなら楽に入れる。猫にとっては無問題。
正直驚きました。
通行量の少ない道路だからこそ、動物にとっては危険が少ない、侵入しやすい、これ常識。
だからこそ、より侵入しにくい構造にしなければらないのに。

自分自身が高速道路で動物を跳ねたくないし、
遺族の方と同じ思いをされる方は二度と出てほしくない。
その為には道路管理者が過失を認め、キチンとした対策を施す必要がある。
以上のような理由で被害者の遺族の方に協力し、当サイトでも扱うこととしました。



本当に道路公団は道路管理者として過失がなかったのか?
判例に胡坐をかき、出来ることをしていなかったのではないか?
そんな疑問が現実と化していました。
過去に遡ること19年前には動物侵入に対する対策案を、
当時の有識者に検討をして頂き、すでにまとめていました。
残念ながら北海道の事故が起きた当時、対策は施されていませんでした。
そして現在もまとめ上げられた対策は施されていません。
この対策案に刺激され、旧建設省内でも1995年に同様な対策案をまとめ上げたそうです。
ちなみにこの対策を施すと北海道内で38億円かかります。
ETC導入当初、ゲートが1億円。ある事故でETCゲートを衝突して破損させてしまった
ドライバーが、事故による怪我ではなく
その弁償金額の高さに驚き卒倒し、救急車で運ばれたという逸話があります。
コストの掛け方が間違っているような気がしました。

NEXCO系の会社が販売する対応品


札幌高裁判決2008年4月18日

高速道路の思い出