交通管理隊の思い出



交通管理隊に入るきっかけ

交通管理隊とは?
高速道路でよく見かける黄色いパトカーです
これに乗るのが子供の頃からの夢でした
警察のパトカーよりも
黄色い車体に白と赤の派手なバンパーの黄色いパトカーを
近所の高速道路でよく見て憧れていたものです。
やがて中学を出て働き殆ど諦めていました。
諦めていた筈の交通管理隊ですが新聞求人欄によく見かけました
ただ、中卒の私には求人欄に「高卒以上」と書かれていた交通管理隊の会社に
応募する事が出来ずにいました。
でも、もしかしたら高速道路で働いていれば
何かしらの方法があるのでは?と思い
学歴不問と書かれていた同じ高速道路の料金所で働き始めました
そして毎日料金所を通行する交通管理隊を見て
やはり諦められずに思い切って交通管理隊の会社に電話をしてみました。

電話で問い合わせると学歴は表向き書いてあるだけとの事
当時はバブルの世の中、どこの会社も人手不足
不規則勤務でその上危険、こんな仕事のために
退社する社員が年間全社員10%に及び
欠員補充と週休二日制へ移行の為の増員で長期に渡り社員を募っていました
料金所の仕事も楽しく少し考えましたが、
やはり目の前にある夢を実現するために応募しました。

いくら人手不足のなかとはいえ職務上慎重に人材を選出しなければならず
また競争率自体は6倍近くあり、これまた周囲の応募者の優秀そうな顔
中には管理隊で殉職覚悟で応募する者までおり殆ど諦めていました。
説明では採用決定まで1週間程と聞きましたが簡単な試験の後に
何と面接で採用が即決、他の人は後日連絡との事でしたから
やはり料金所で働いていた事が幸いしたらしく
運良く交通管理隊会社に入社できる事になりました


偶然

実は私自身子供の頃とんでもない悪ガキで悪戯ばっかりしていました
自宅付近に高速道路があり眺めるだけなら良いですが
入り込んで路肩に立っていたり車が来ない時に見計らって横断なんかもしました
特に中央分離帯がお気に入りで上下線のガードレールの間に入っていた事もあります
そんな事ばかりしている内に黄色いパトカーに捕まり
学校に連絡が行き担任から怒られたりもしました
驚いたのが捕まえた人が私の上司として配属先にいたのです
最初はお互いに知りませんでしたが、入社して数ヶ月が経ち
私の子供の頃を話や上司の昔の経験談からお互いに
「お〜あの時の」と感心したものです
昔捕まえた悪ガキが同じ仕事をしているんですから
不思議なものです。


研修

入社して二週間ほどで先輩とペアを組み二人一組で道路巡回にでます
そまでの間に一通りの研修を行い色々と覚えなければなりません
無線連絡の方法や事故の際に記入する書類の書き方、規制方法や機材の使用法等
料金所では約一ヶ月と余裕があり、ある程度仕事にパターンがあるので
最低限必要な事は覚えられますが交通管理隊にはパターンがありません
定期巡回と言い一定の区間を時間を決めて見回る他に緊急と称して
落下物排除や苦情に故障車、事故等の処理が毎日必ずあります
同じ種類の処理でも状況によっては対応が必然的に異なり
間違えば事故や渋滞の発生そして人命にも関わるので必死に覚えますが
いくら研修を積んでもやはり経験がなければ現場では戸惑います
研修期間は二人一組の先輩コンビのパトカーに同乗し最初は車内から見るだけで
その内路上に出て通行量の少ない時に本線上に有る落下物の排除や
簡単な無線連絡などから覚えて行きます。


初めての緊急走行

やはり一番最初の緊急走行は鮮明に覚えていますね
引継ぎも終わり帰る時間を待っていると
軽微な追突事故の連絡を受け一緒に事故現場に向う事になり
研修期間中なので後部座席に乗り込み外を眺めているだけでしたが
途中から渋滞が始まりサイレンを鳴らしながら一般車に進路を譲るように拡声器で
先輩が言うと左右に進路が開けその中を走り抜ける自分に
何とも言えない優越感と言うんでしょうか、
異様な感覚に襲われ自分がまるで偉くなったような気がしました
実際に何故か笑いが止まらず上司や先輩に「どうした」と不思議そうに声を
かけられ笑いを堪えるのに苦労しました。
事故自体は怪我人や自走不能の車両も無く
警察の事故検分もすぐに終わり基地に戻りましたが
あの不思議な感覚をまた経験したくなり不謹慎のようですが
何か緊急走行する事が無いかと期待していました。


厳しい先輩達

いつもは面白く優しい先輩も入社当初は厳しいですね
私の性格がマイペース派なので機敏な動きが苦手な上に慣れない作業で
毎日のように怒られ料金所が懐かしくなって辞めたくなる事もありました
危険な仕事なので一瞬のミスや油断が死に直結しますし
事故や渋滞など引き起こし、お客様に多大な迷惑をかける事になりますから
必然的に厳しくなり巡回終了後に特訓(チョット大げさ)を受けた事も(^^;
でもせっかく子供の頃からの憧れ本当に運良くなれた交通管理隊の仕事です
少し位の辛さは屁みたいなもんです。


眠たい夜勤

料金所は原則24時間勤務ですが、
交通管理隊は変則で日勤と夜勤に分かれます
日勤は朝から夕方までの勤務ですが
夜勤は夕方から翌日の朝までの通し勤務で約17時間
夜勤一回勤務は日勤二回と同じ扱いで
夜勤明けは休日ではないですが
次の勤務までだいたい23時間近くありますから
一日休みみたいなものです
基本的に仮眠は取れれば取っても良いと言うことで
料金所のように必ず寝れるわけではなく
たまに仮眠が取れない場合は本当に眠くて帰宅途中の信号待ちで
ついウトウトと寝てしまい夢を見たこともあります(笑)
巡回も最期は朝にあるので料金所と同じくとても眠いです
高速道路を朝の出勤で利用されるお客様も眠そうにしていますが
巡回している管理隊も凄く本当は眠いんです
だいたい朝8時くらいになると勤務時間の終わりが見えてきて
ホッとしますが結構この時間帯に事故が起きやすく
その場合は本当にガックリします。


言い訳

管理隊の義務として守秘義務と言うのがあります
業務上知りえた事をむやみに外部に漏らしてはならないのです
これに抵触しないようにしながらホームページ上で
経験した事を公開するのは、残念ながら非常に難しいです。
色々期待させたくせに申し訳ありませんが
「管理隊の思い出」の更新が困難で
この先も、いつ更新できるかチョット分りません
でも、色々考えながら少しづつ更新していきたいと思いますので
ご了承下さい。



色々落ちている高速道路

管理隊の仕事で一番多く処理するのが落下物排除だと思います
ジュースの空缶からドラム缶・線路の枕木・布団・段ボール・ベニヤ板・
ガッチャ・タイヤチェーン・浄化槽・便器・タイヤ・ゴム板・ゴム紐・
ビニールシート・スクラップの金属片等
とにかく色々と落ちており一日で数十件程排除しました。
落下物を避けようとして事故になることもありますし、
乗り上げて車を破損させる場合もあります。
当然放置する事は出来ませんから発見次第
高速で走る車の合間をぬって排除します。
これが慣れないと怖いですね、慣れても怖いですが・・。
なにせ情報板やパトカーの標識で注意を呼び掛けていても
ほとんどの車は時速100kmで走っていますから
車の流れが切れていれば簡単ですけど
交通量が多いと排除のために道路を横断して中央分離帯についた後
戻ることが出来ず、しばらく取り残されています。

その際、目の前1メートル先を100キロ前後で大型トラックが通過しときは
本当にスリルあります。(笑)




動物のお葬式

上に書かれている落下物排除に似た処理で
道路上で轢かれた動物の処理があります
本線上で轢かれた動物はまず死んでいます
轢かれた動物は逃げようとし殆ど即死に近い状態ながらも
移動していき中央分離帯や路肩などで息絶えます。
口から若干血を出して死んでいる場合もあれば
内臓がはみ出し見るに耐えられない場合もあります
本線上で息絶え後続車に轢かれてバラバラになったのは
本当に見るに耐えられません。
アスファルトの上に放置しては腐っていくだけで通行に支障をきたします
轢かれてから数日経つと腐り始め悪臭を放ちます
排水溝に流れれば詰まりますし、死んだ動物も可哀相です
こういう場合は路肩などの土に車載のスコップで穴を掘り
埋葬してあげます。




高速道路の思い出